工藤板金工業は、1962年(昭和37年)創業の屋根工事専門会社です。
ここでは、創業者がどんな想いで板金の道を志し、どんな経緯で現在にいたるのかを振り返ります。


雨漏りのひどい家ですごした幼少時代

わたしは1939年(昭和14年)、岩手県軽米町で7人兄弟の次男として生まれました。そのころはどこの家も裕福ではなくてね、「自分でしっかり働けるようになって、はやく両親や兄弟の面倒をみなければ」と、幼な心に思っていました。

それに、当時住んでいた家は雨漏りがひどくてねぇ。家族全員、とても不自由な思いをしていました。だから中学へ進むころには「建築の屋根職人になって家族を楽にしてやろう」って決めていました。

おりしも、時代は終戦から復興へと大きな転換期。わたしは中学校を卒業してすぐに、「大南板金工業」さまにお世話になりました。


中学卒業後、屋根板金の修行へ

昼間は職場で先輩の技術をまね、夜は板金加工の練習をする毎日。いまと違って、板金技術を教える学校も本もなかったからね、先輩の技術をまねるしかなかったんです。

大変だったけど、はやく両親や兄弟の面倒をみたかったし、当時は雨漏りに困っているひとたちが本当にたくさんいてねぇ。もう、寝る間も惜しんで先輩の技術を学びましたよ。

昭和50年頃の両親生家にて

昭和49年頃 工場内での加工作業


もうひとつの夢、二十歳で独立・創業

当時、わたしにはもうひとつ夢があってね。それは「独立して自分の会社をつくる」ことでした。

夢にむかってがむしゃらに努力して、20歳のときに親方のもとをはなれ、ひとり立ちしました。そして30歳を前に八戸市売市に最初の社屋を建て、さらに現在地に新社屋を完成させたのは50歳のときでした。

創業したてのころは何でもやりましたよ。屋根板金はもちろん、鶏舎で使う複雑なかたちのエサ箱や、高度な加工がともなう煙突の修理などもしてました。先輩から学んだ板金技術が思いきり発揮できてねぇ、苦労もあったけれど、たくさんの喜びを感じながら毎日がすぎていきました。

昭和35年頃 独立して間もない頃

昭和49年頃 最初の社屋(八戸市売市)


家業のかたわら、指導者として後進の育成も

板金屋としての事業がようやく軌道に乗りだしたころ、今度は指導者として活動する機会に恵まれました。

職業訓練校で指導員をやったときは、若者の一所懸命な姿を見てね、若いころの自分を思い出したものですよ。

技能五輪全国大会にも指導者として参加しました。技能の日本一を競う大会ですからね、自分の会社から選手が選ばれたときは感動したなぁ。技術力が評価されるというのは、職人にとって何よりもうれしいものです。

昭和47年 技能五輪全国大会閉会式

県が主催するものづくり若年者技能競技大会にもおなじく指導者として参加しました。当社からの受賞者は、2012年現在で、のべ11人にもなるんですよ。職業訓練校の生徒で、県や八戸市から表彰された社員も5人います。

こうして板金業界の技術のレベルアップに多少なりともお役にたてたことが、わたしの誇りでもあるんですよ。

昭和47年 弟子(右)が技能五輪全国大会へ出場


八戸市より卓越技能者として表彰される

平成23年、70歳を過ぎたわたしのもとに、うれしい知らせが届きました。地元八戸市が卓越技能者として表彰してくださるというのです。

聞くところによると、すぐれた技能を通じて市の産業発展に貢献したひとがいただける賞とのこと。一般住宅から大型の水産関連施設や福祉施設など、これまでたくさんの屋根工事を手がけてきたことや、指導員として後進の育成に力を注いできたことをご評価いただいたようです。

ふり返れば、もうすぐ創業50年。わたしはこの栄誉ある賞をありがたく頂戴することにしました。今思うにこの受賞が、自分の人生に向きあい、これからのことについて考えるきっかけになったのかもしれませんね。

平成23年 八戸市より卓越技能者賞を受賞

平成23年 卓越技能賞受賞祝賀パーティにて


創業50周年を機に事業継承へ

平成24年、工藤板金工業は創業から50周年を迎えました。

モノをつくる喜び、完成時の達成感、新しい技術習得へのチャレンジ精神、そしてお客さまの笑顔。これらすべてを活力にかえて、苦しいことも乗り越えてきました。もちろん、家族や社員、周囲の方々の支えがあったからこそここまでやってこられたんだと、心から感謝しています。

さいわい長男も同じ道を歩み、たくさんの弟子たちも育ってましたからね。わたしは50周年を機に、一線を退き、次の世代に事業をゆだねることにしました。

昭和49年 社員の家族も参加した慰安旅行

昭和52年 当時9歳の長男(現社長)


未来へ伝えたい「工藤板金の精神」

「雨漏りする家から家族を守りたい」という幼いころの素朴な想いは、半世紀のときを経て、家族から社員、お客さま、そして地域への想いにかわりました。

家族を愛するように社員やお客様を愛し、日々技術の研さんにはげむこと。ひとを育て、社会へ貢献すること。

わたしの板金人生でつちかったこの志は、工藤板金工業の精神として、世代をこえて受け継がれていくものと確信しています。

平成24年 事業継承式


伝統の精神と最先端の技術力。工藤板金工業は進化し続けます。

工藤板金工業は、お客さまとの信頼関係を大切に、つねに技術の向上に努め、社員教育を重視しながら成長してきました。

屋根工事の専門会社として、今後も技術の研さんに励むとともに、世の中の動きを敏感にとらえ、多様化するニーズに100%おこたえできる会社をめざしてまいります。

会社を支えているのは、そこで働く「ひと」です。わたしたちは、家族のようにひとを愛し、ひとを育て、お客さまに快適な住環境をご提供することで、「よりよい未来」を創造してまいります。

2023年現在


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